LINE Blockchainとブロックチェーンゲーム (1)

Digest2020.08.28

本文

2020年、ビットコインの誕生から11年が経過しました。主に投資や送金の用途で利用が拡大してきましたが、ビットコインから発想を得たブロックチェーン技術は他の用途にも広がりを見せています。

中でも、日本ではアイテムやキャラクターなどのコンテンツが自分の「資産」となる、新たなユーザー体験をもたらすブロックチェーンゲームが注目されています。ブロックチェーンゲームはDapps(Decentralized applications)ゲームとも呼ばれ、今までのゲームとは違った特徴を持っています。ブロックチェーンゲームはイーサリアムが生まれた2015年以降の5年程度と歴史の浅いジャンルです。まだ黎明期とも言われ、今後の成長が期待されています。

本記事では2回に分けて、ブロックチェーンゲームの特徴と現状、日本や海外での事例に触れた上で課題を取り上げ、国内で月間8,400万人以上が利用するLINEが提供するLINE BlockchainとLINKにおいて目指すブロックチェーンゲームの世界観を見ていきます。

ブロックチェーンゲームの特徴

ブロックチェーンゲームの最大の特徴は、アイテムやキャラクターなどのコンテンツをユーザーの資産にできることです。ユーザーが入手したコンテンツをトークン(NFT)化することで、交換や譲渡、レンタル、所有記録の追跡などが可能になります。NFT(Non Fungible Token)とは、トークン自体に固有の値や属性を持たせた代替性のないトークンをいい、アイテムが固有のものであることを証明することができるものです。ブロックチェーンゲームのキャラクターやアイテムはNFTとして発行するケースが多くなっています。

これまでのゲームでは、ゲーム資産はあくまで運営会社のコントロール下にあり、自分の資産とはいえませんでした。また、アイテムはデータとしてしか存在しないため世界に一つだけであることの証明は困難でした。ブロックチェーンゲーム上では、運営が管理するのではなくユーザー自身の資産になることによって、ゲームに費やした時間や労力が資産として蓄積されていくことになります。さらに自分自身のアイテムであることを証明することも可能になります。

自分の保有するゲーム資産を交換したり、譲ったりゲーム資産を他のゲームで利用することも可能となります。ゲーム間でコンテンツを共有できるゲームは過去にも存在していました。その体験が、多くのゲームでより簡単に導入できるのがブロックチェーンゲームの大きな特徴といえるでしょう。

従来以上に簡単にゲーム間の連携ができるようになれば、多くのコラボレーションを生む可能性があります。これによって、シリーズもののタイトルをプレイする際にアイテムを引き継ぎしやすくなるなど、面白い使い方が増えることが想定されます。

開発上の特徴

ブロックチェーンゲームと言っても、すべてのデータをブロックチェーン上で処理するのではなく、主にコンテンツ管理や決済部分に限って処理を行います。ブロックチェーンのトランザクションはサーバーよりも遅く、すべてのデータを処理しようとするとゲーム性を大きく下げてしまいます。そのため、従来どおりサーバーで処理するデータと、ブロックチェーン上で処理するデータを区別して開発していくのが普通であり、これまでのゲーム開発に必要な技術をベースに開発をすることができます。

ここで最も大事なことは、ブロックチェーンという最新技術自体よりも、新たなユーザー体験にこそ価値がありゲームを楽しくプレイすることをユーザーは求めているということです。ブロックチェーンを導入していること自体は、必ずしもゲームの価値を高めるとは限りません。トークン化などの仕組みによって、ゲームとしての面白さを高めていくことが鍵となります。ブロックチェーン技術自体の知識を深めることも重要ですが、それ以上にうまく利用する方法を考えることが求められます。

ブロックチェーンゲーム概観

ブロックチェーンゲームは、最初は後ほど紹介するクリプトキティ(猫の交配・交換ができるゲーム)といったごく単純なゲームから始まり、ゲーム性は年々高まっています。MMORPGなどゲーム内でアイテムやキャラクターなどを集めていくようなゲームとの相性が良いと考えられます。最近ではカードゲームの人気も高まっています。ソーシャルゲームではブロックチェーンが使われるのが当たり前になるかもしれません。将来的にはVRゲームとの融合が進んでいくことも想定されます。

 

ブロックチェーンプラットフォーム

ブロックチェーンといっても、様々なプラットフォームが存在しています。ゲームに使われる主なものとしてはイーサリアム、EOSといったブロックチェーンが挙げられます。イーサリアムやEOSは特定の運営主体がなく誰でも参加できるパブリックブロックチェーンです。

パブリックチェーンでは、誰でも自由に参加できることが魅力な反面、ユーザー体験や開発しやすさに関しては難点があります。プラットフォームとしての処理速度の速さと分散性はトレードオフの関係にあるため、分散性を重視するパブリックチェーンでは処理速度が遅いのが一般的です。また、一部には賭博に関するゲームも存在し、賭博法との関係やマネーロンダリングの観点から日本国内における適正な規制下で進めることができないプロジェクトも存在するのが現状です。

イーサリアムにおけるゲームの現状

当初ブロックチェーンでは「分権化」「耐検閲性」といった思想的側面が注目される傾向がありました。ビットコインやイーサリアムといった暗号資産(仮想通貨)の思想的側面からブロックチェーンゲームは誕生し、運営にコントロールされず自分自身で資産をコントロールできる自己主権型の分権化された仕組みが注目されてきました。

しかし社会に広まっていく過程で徐々にそうした初期の理念的なフェーズから、ブロックチェーンゲームの方向性も変わってきているように見受けられます。ブロックチェーンの当初の思想や概念よりも、ゲームを面白くするために技術を使おうという発想に重点が移りつつあるようです。

一般的に、企業がブロックチェーンをビジネス利用する際には、企業等が協業して運営するコンソーシアムチェーンやプライベートチェーンと呼ばれるブロックチェーンがプラットフォームとして利用されています。こうしたプラットフォームでは分散性がパブリックチェーンよりも低くなっている分、処理能力が格段に高いのが特徴です。ブロックチェーンゲームにおいても同様に、こうしたプラットフォームが利用されていくことが今後予想されます。LINE Blockchainもこうしたブロックチェーンの一種です。

 

日本のブロックチェーンゲームが世界一

ブロックチェーンゲームとして一番最初にヒットしたのは、ブロックチェーン上で猫を交換したり交配できる海外のゲーム「クリプトキティ」でした。ゲームとしては非常にシンプルですが、投資目的でキャラクターを売買する人々も参加し、1,000万円以上で取引されるキャラクターが生まれるなど最初のヒット事例となりました。

https://www.cryptokitties.co/

2019年に世界一ヒットしたのは、日本のゲーム「マイクリプトヒーローズ」です。歴史上の偉人などをキャラクター化し、アイテムの交換や対戦なども楽しめるゲームです。クリプトキティに比べてゲーム性は高くなっています。二次流通市場も拡大しており、遊べる幅が広がっていると言えるでしょう。今後も日本発のゲームとしてカードゲームなどで既にいくつものタイトルが発表されており、注目が集まっています。

https://www.mycryptoheroes.net/ja

同時に海外の大手ゲーム会社による事例も出てきています。例えば、中国の大手テンセントでは2019年にブロックチェーンゲーム「Let’s Hunt Monsters」をリリース。ポケモンGOのようなARゲームと、クリプトキティのようなキャラクターの資産化を融合したようなゲームであり、リリース後は中国のiOSアプリストアで最もダウンロード数の多い無料ゲームとなりました。

 

LINE Blockchainとブロックチェーンゲーム (1)

LINE Blockchainとブロックチェーンゲーム (1)

Digest・2020.08.28


本文

2020年、ビットコインの誕生から11年が経過しました。主に投資や送金の用途で利用が拡大してきましたが、ビットコインから発想を得たブロックチェーン技術は他の用途にも広がりを見せています。

中でも、日本ではアイテムやキャラクターなどのコンテンツが自分の「資産」となる、新たなユーザー体験をもたらすブロックチェーンゲームが注目されています。ブロックチェーンゲームはDapps(Decentralized applications)ゲームとも呼ばれ、今までのゲームとは違った特徴を持っています。ブロックチェーンゲームはイーサリアムが生まれた2015年以降の5年程度と歴史の浅いジャンルです。まだ黎明期とも言われ、今後の成長が期待されています。

本記事では2回に分けて、ブロックチェーンゲームの特徴と現状、日本や海外での事例に触れた上で課題を取り上げ、国内で月間8,400万人以上が利用するLINEが提供するLINE BlockchainとLINKにおいて目指すブロックチェーンゲームの世界観を見ていきます。

ブロックチェーンゲームの特徴

ブロックチェーンゲームの最大の特徴は、アイテムやキャラクターなどのコンテンツをユーザーの資産にできることです。ユーザーが入手したコンテンツをトークン(NFT)化することで、交換や譲渡、レンタル、所有記録の追跡などが可能になります。NFT(Non Fungible Token)とは、トークン自体に固有の値や属性を持たせた代替性のないトークンをいい、アイテムが固有のものであることを証明することができるものです。ブロックチェーンゲームのキャラクターやアイテムはNFTとして発行するケースが多くなっています。

これまでのゲームでは、ゲーム資産はあくまで運営会社のコントロール下にあり、自分の資産とはいえませんでした。また、アイテムはデータとしてしか存在しないため世界に一つだけであることの証明は困難でした。ブロックチェーンゲーム上では、運営が管理するのではなくユーザー自身の資産になることによって、ゲームに費やした時間や労力が資産として蓄積されていくことになります。さらに自分自身のアイテムであることを証明することも可能になります。

自分の保有するゲーム資産を交換したり、譲ったりゲーム資産を他のゲームで利用することも可能となります。ゲーム間でコンテンツを共有できるゲームは過去にも存在していました。その体験が、多くのゲームでより簡単に導入できるのがブロックチェーンゲームの大きな特徴といえるでしょう。

従来以上に簡単にゲーム間の連携ができるようになれば、多くのコラボレーションを生む可能性があります。これによって、シリーズもののタイトルをプレイする際にアイテムを引き継ぎしやすくなるなど、面白い使い方が増えることが想定されます。

開発上の特徴

ブロックチェーンゲームと言っても、すべてのデータをブロックチェーン上で処理するのではなく、主にコンテンツ管理や決済部分に限って処理を行います。ブロックチェーンのトランザクションはサーバーよりも遅く、すべてのデータを処理しようとするとゲーム性を大きく下げてしまいます。そのため、従来どおりサーバーで処理するデータと、ブロックチェーン上で処理するデータを区別して開発していくのが普通であり、これまでのゲーム開発に必要な技術をベースに開発をすることができます。

ここで最も大事なことは、ブロックチェーンという最新技術自体よりも、新たなユーザー体験にこそ価値がありゲームを楽しくプレイすることをユーザーは求めているということです。ブロックチェーンを導入していること自体は、必ずしもゲームの価値を高めるとは限りません。トークン化などの仕組みによって、ゲームとしての面白さを高めていくことが鍵となります。ブロックチェーン技術自体の知識を深めることも重要ですが、それ以上にうまく利用する方法を考えることが求められます。

ブロックチェーンゲーム概観

ブロックチェーンゲームは、最初は後ほど紹介するクリプトキティ(猫の交配・交換ができるゲーム)といったごく単純なゲームから始まり、ゲーム性は年々高まっています。MMORPGなどゲーム内でアイテムやキャラクターなどを集めていくようなゲームとの相性が良いと考えられます。最近ではカードゲームの人気も高まっています。ソーシャルゲームではブロックチェーンが使われるのが当たり前になるかもしれません。将来的にはVRゲームとの融合が進んでいくことも想定されます。

 

ブロックチェーンプラットフォーム

ブロックチェーンといっても、様々なプラットフォームが存在しています。ゲームに使われる主なものとしてはイーサリアム、EOSといったブロックチェーンが挙げられます。イーサリアムやEOSは特定の運営主体がなく誰でも参加できるパブリックブロックチェーンです。

パブリックチェーンでは、誰でも自由に参加できることが魅力な反面、ユーザー体験や開発しやすさに関しては難点があります。プラットフォームとしての処理速度の速さと分散性はトレードオフの関係にあるため、分散性を重視するパブリックチェーンでは処理速度が遅いのが一般的です。また、一部には賭博に関するゲームも存在し、賭博法との関係やマネーロンダリングの観点から日本国内における適正な規制下で進めることができないプロジェクトも存在するのが現状です。

イーサリアムにおけるゲームの現状

当初ブロックチェーンでは「分権化」「耐検閲性」といった思想的側面が注目される傾向がありました。ビットコインやイーサリアムといった暗号資産(仮想通貨)の思想的側面からブロックチェーンゲームは誕生し、運営にコントロールされず自分自身で資産をコントロールできる自己主権型の分権化された仕組みが注目されてきました。

しかし社会に広まっていく過程で徐々にそうした初期の理念的なフェーズから、ブロックチェーンゲームの方向性も変わってきているように見受けられます。ブロックチェーンの当初の思想や概念よりも、ゲームを面白くするために技術を使おうという発想に重点が移りつつあるようです。

一般的に、企業がブロックチェーンをビジネス利用する際には、企業等が協業して運営するコンソーシアムチェーンやプライベートチェーンと呼ばれるブロックチェーンがプラットフォームとして利用されています。こうしたプラットフォームでは分散性がパブリックチェーンよりも低くなっている分、処理能力が格段に高いのが特徴です。ブロックチェーンゲームにおいても同様に、こうしたプラットフォームが利用されていくことが今後予想されます。LINE Blockchainもこうしたブロックチェーンの一種です。

 

日本のブロックチェーンゲームが世界一

ブロックチェーンゲームとして一番最初にヒットしたのは、ブロックチェーン上で猫を交換したり交配できる海外のゲーム「クリプトキティ」でした。ゲームとしては非常にシンプルですが、投資目的でキャラクターを売買する人々も参加し、1,000万円以上で取引されるキャラクターが生まれるなど最初のヒット事例となりました。

https://www.cryptokitties.co/

2019年に世界一ヒットしたのは、日本のゲーム「マイクリプトヒーローズ」です。歴史上の偉人などをキャラクター化し、アイテムの交換や対戦なども楽しめるゲームです。クリプトキティに比べてゲーム性は高くなっています。二次流通市場も拡大しており、遊べる幅が広がっていると言えるでしょう。今後も日本発のゲームとしてカードゲームなどで既にいくつものタイトルが発表されており、注目が集まっています。

https://www.mycryptoheroes.net/ja

同時に海外の大手ゲーム会社による事例も出てきています。例えば、中国の大手テンセントでは2019年にブロックチェーンゲーム「Let’s Hunt Monsters」をリリース。ポケモンGOのようなARゲームと、クリプトキティのようなキャラクターの資産化を融合したようなゲームであり、リリース後は中国のiOSアプリストアで最もダウンロード数の多い無料ゲームとなりました。

 


List