[Column] NFTは3Dテレビのデジャブなのか

Digest2021.07.14

NFTは3Dテレビのデジャブなのか

この記事は、LVCのCEO、 林仁奎がThe Korea Economic Daily(Hankyung)Koala Newsletterに寄稿した記事を日本語に翻訳したものです。原文はこちら

 

NFT(代替不可能なトークン)ブームである。

 

社会現象のように毎日のようにニュースに登場する。
しかし実際には、NFTが何なのか理解しているか、今所有しているか、あるいは取引したことがあるか、NFTマーケットに入ったことはあるかなどと聞けば、ほとんどの人はないと答えるだろう。

 

2009年に映画「アバター」が公開されてから、全世界の家電製品メーカーは3D(3次元)テレビの製造を始め、任天堂は代表的なハードウェアである携帯用ゲーム機に3Dを導入し始めた。そして、今この記事を書いているメディアの最も多く読まれた技術分野の記事第1位は、ティム・バーナーズ=リーがWWW(ワールドワイドウェブ)のソースコードをNFT化したものが540万ドル(約61億ウォン)で販売されたというものだ。(高い金額に感じられるが、今年3月に取引されたビープルの6930万ドルに比べると8%の程度の金額である)

 

2009年を3D映像ビジネスがスタートした元年とすれば、2021年はNFTビジネスがスタートした元年と言えるだろう。ブロックチェーンと暗号資産についてのさまざまな統計を提供しているザ・ブロック(The block)にて、NFT市場の取引量を集計する際に使われている5つの主要サービスの中でクリプトキティ(Crypto Kitties)を除いた、アクシーインフィニティ(Axie Infinity)、クリプトパンク(CryptoPunks)、NBAトップショット(NBA TopShot)、ソレア(Sorare)の4つのサービスの取引が2021年から盛り上がり始めている。

 

その反面、暗い展望も見え始めている。始まって間もないにも関わらず、既にNFTマーケットの取引量とユーザー数は減少傾向を見せている。もちろんこれは暗号資産の価値の下落が影響を与えていると見ることもできる。しかしクリスティーズのオークションにおいてビープルの絵が売れたときに既にNFT市場全体の取引規模は下降トレンドにあった。最近新しく出たNFTはもはや以前のような価格では売れず、クオーツ(Quartz)は、6月11日に「NFT ブームは弾けた、今のところ(The NFT boom has gone bust — for now)」という宣言のような記事を掲載した。

 

再び3Dテレビの話に戻ると、サムスンとLGだけでなく、ソニーやシャープなどの日本の企業までが意欲的に製造していた3Dテレビは、2017年以降もはや製造されなくなった。様々な理由はあるだろうが、端的に言うと「視聴者のニーズが3D映像より高解像度(4K)とHDRなどを選択した」ということだろう。アバターは2021年にも依然として歴代で最も多くの収益を上げた映画であり、映画館での3D技術は進歩し続けているが、家庭ではもはや3Dテレビやそのコンテンツを探すことは難しくなった。

 

「あまり人気もなくインパクトもなかった3Dテレビの話をなぜ今するのか理解できない」と思われる方がいるとすれば、2010年代半ばに全世界の家電製品メーカーがどれだけ3Dテレビの広報に熱意を費やしていたか、もうお忘れなのだろう。3Dテレビの流行はわずか5~6年程度に過ぎなかったが、このようにほとんどの人々の記憶の彼方に消えてしまった。

 

NFTもまた、3Dテレビのデジャブとなってしまうのだろうか?

 

なにかの「ブーム」が我々の「日常」になる際に最も重要なことは、ユーザーに選択されるかどうかだ。

 

もし大きなメガネをかけなくても3Dテレビを見ることができたなら?高いブルーレイプレイヤーとディスクがなくとも3Dコンテンツを家で楽しむことができたなら?3D映像にもHDRのような新しい映像技術が適用されたのなら?テレビ製造メーカーのパネル選択にもう少し選択肢があったのなら?

 

もしそうであったのならば、我々は今3Dテレビでプロ野球を見て、大ヒットドラマは3Dで制作され、映画もまた3Dメインで見ていたかもしれない。

 

ここからNFTは教訓を得ることができる。現時点のNFTはかなり不便なユーザー経験をベースとしている。その国家の言語に最適化され、その国家の規制の下、しっかりとサービスを展開しているNFTマーケットはほとんどない。

 

各々のポリシーを持ったNFTマーケットが、また別のポリシーを持つほかの会社が提供しているブロックチェーンウォレットに連動し、サービスを展開している。自分が所有しているNFTを販売し、収益を上げたときは、これを法定通貨に替えるためにまた別の暗号資産取引所に送り、そこで両替をしなければならない。

 

この全てのプロセスにおいて、送付と売却の各手続きごとに大きな金額の手数料が発生することもある。さらにイーサリアムをベースとする場合には、電力まで大量に使用するという話も加わり、NFTの未来を楽観的に考えることはそうたやすいことではない。

 

もしNFTによく知らないアーティストが描いた絵ではなく、自分が好きな誰でも知っている有名漫画家の作品があったのなら?
アプリマーケット1位の人気ゲームのレアアイテムがNFT化され、ゲーム内の取引所で取引されるとしたら?インスタグラムに写真一枚を上げるよりも少ないエネルギーで取引できるNFTマーケットが登場したのなら?今までは「コンテンツ化」できなかったデジタル「情報」が当たり前のようにコンテンツ化されたり、あるいは資産化できたのなら?そしてこれらを、インターネットのショッピングモールでクリック数回だけで当日家に配送されるように、クリック数回でNFTを買い、自分のデジタル資産保存ストレージに保存できるようになったとしたら?

 

このように皆が欲しくなるコンテンツが溢れ、マーケット自体を簡単に利用できる環境があれば、今のように一部のアーティスト、一部のアーリーアダプターが利用するのではなく、大衆を対象にビジネスする大企業が参加し、さまざまなコンテンツを所有し、利用し、取引することになるだろう。

 

LINEは、よりよいユーザー経験を提供することを目標に、LINE BITMAX Walletと自社の発行した暗号資産LINKを決済手段として使用することができるNFTマーケットのベータ版を6月30日に日本で発表した。これを通じて、NFTマーケットのユーザーにより良い経験を提供できるベースを作り、NFTの発行を通じ、新しく便利でおもしろいサービスを提供する企業を増やすことが、NFT大衆化のための我々のミッションであると考え、その一歩を踏み出している。

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[Column] NFTは3Dテレビのデジャブなのか

[Column] NFTは3Dテレビのデジャブなのか

Digest・2021.07.14


NFTは3Dテレビのデジャブなのか

この記事は、LVCのCEO、 林仁奎がThe Korea Economic Daily(Hankyung)Koala Newsletterに寄稿した記事を日本語に翻訳したものです。原文はこちら

 

NFT(代替不可能なトークン)ブームである。

 

社会現象のように毎日のようにニュースに登場する。
しかし実際には、NFTが何なのか理解しているか、今所有しているか、あるいは取引したことがあるか、NFTマーケットに入ったことはあるかなどと聞けば、ほとんどの人はないと答えるだろう。

 

2009年に映画「アバター」が公開されてから、全世界の家電製品メーカーは3D(3次元)テレビの製造を始め、任天堂は代表的なハードウェアである携帯用ゲーム機に3Dを導入し始めた。そして、今この記事を書いているメディアの最も多く読まれた技術分野の記事第1位は、ティム・バーナーズ=リーがWWW(ワールドワイドウェブ)のソースコードをNFT化したものが540万ドル(約61億ウォン)で販売されたというものだ。(高い金額に感じられるが、今年3月に取引されたビープルの6930万ドルに比べると8%の程度の金額である)

 

2009年を3D映像ビジネスがスタートした元年とすれば、2021年はNFTビジネスがスタートした元年と言えるだろう。ブロックチェーンと暗号資産についてのさまざまな統計を提供しているザ・ブロック(The block)にて、NFT市場の取引量を集計する際に使われている5つの主要サービスの中でクリプトキティ(Crypto Kitties)を除いた、アクシーインフィニティ(Axie Infinity)、クリプトパンク(CryptoPunks)、NBAトップショット(NBA TopShot)、ソレア(Sorare)の4つのサービスの取引が2021年から盛り上がり始めている。

 

その反面、暗い展望も見え始めている。始まって間もないにも関わらず、既にNFTマーケットの取引量とユーザー数は減少傾向を見せている。もちろんこれは暗号資産の価値の下落が影響を与えていると見ることもできる。しかしクリスティーズのオークションにおいてビープルの絵が売れたときに既にNFT市場全体の取引規模は下降トレンドにあった。最近新しく出たNFTはもはや以前のような価格では売れず、クオーツ(Quartz)は、6月11日に「NFT ブームは弾けた、今のところ(The NFT boom has gone bust — for now)」という宣言のような記事を掲載した。

 

再び3Dテレビの話に戻ると、サムスンとLGだけでなく、ソニーやシャープなどの日本の企業までが意欲的に製造していた3Dテレビは、2017年以降もはや製造されなくなった。様々な理由はあるだろうが、端的に言うと「視聴者のニーズが3D映像より高解像度(4K)とHDRなどを選択した」ということだろう。アバターは2021年にも依然として歴代で最も多くの収益を上げた映画であり、映画館での3D技術は進歩し続けているが、家庭ではもはや3Dテレビやそのコンテンツを探すことは難しくなった。

 

「あまり人気もなくインパクトもなかった3Dテレビの話をなぜ今するのか理解できない」と思われる方がいるとすれば、2010年代半ばに全世界の家電製品メーカーがどれだけ3Dテレビの広報に熱意を費やしていたか、もうお忘れなのだろう。3Dテレビの流行はわずか5~6年程度に過ぎなかったが、このようにほとんどの人々の記憶の彼方に消えてしまった。

 

NFTもまた、3Dテレビのデジャブとなってしまうのだろうか?

 

なにかの「ブーム」が我々の「日常」になる際に最も重要なことは、ユーザーに選択されるかどうかだ。

 

もし大きなメガネをかけなくても3Dテレビを見ることができたなら?高いブルーレイプレイヤーとディスクがなくとも3Dコンテンツを家で楽しむことができたなら?3D映像にもHDRのような新しい映像技術が適用されたのなら?テレビ製造メーカーのパネル選択にもう少し選択肢があったのなら?

 

もしそうであったのならば、我々は今3Dテレビでプロ野球を見て、大ヒットドラマは3Dで制作され、映画もまた3Dメインで見ていたかもしれない。

 

ここからNFTは教訓を得ることができる。現時点のNFTはかなり不便なユーザー経験をベースとしている。その国家の言語に最適化され、その国家の規制の下、しっかりとサービスを展開しているNFTマーケットはほとんどない。

 

各々のポリシーを持ったNFTマーケットが、また別のポリシーを持つほかの会社が提供しているブロックチェーンウォレットに連動し、サービスを展開している。自分が所有しているNFTを販売し、収益を上げたときは、これを法定通貨に替えるためにまた別の暗号資産取引所に送り、そこで両替をしなければならない。

 

この全てのプロセスにおいて、送付と売却の各手続きごとに大きな金額の手数料が発生することもある。さらにイーサリアムをベースとする場合には、電力まで大量に使用するという話も加わり、NFTの未来を楽観的に考えることはそうたやすいことではない。

 

もしNFTによく知らないアーティストが描いた絵ではなく、自分が好きな誰でも知っている有名漫画家の作品があったのなら?
アプリマーケット1位の人気ゲームのレアアイテムがNFT化され、ゲーム内の取引所で取引されるとしたら?インスタグラムに写真一枚を上げるよりも少ないエネルギーで取引できるNFTマーケットが登場したのなら?今までは「コンテンツ化」できなかったデジタル「情報」が当たり前のようにコンテンツ化されたり、あるいは資産化できたのなら?そしてこれらを、インターネットのショッピングモールでクリック数回だけで当日家に配送されるように、クリック数回でNFTを買い、自分のデジタル資産保存ストレージに保存できるようになったとしたら?

 

このように皆が欲しくなるコンテンツが溢れ、マーケット自体を簡単に利用できる環境があれば、今のように一部のアーティスト、一部のアーリーアダプターが利用するのではなく、大衆を対象にビジネスする大企業が参加し、さまざまなコンテンツを所有し、利用し、取引することになるだろう。

 

LINEは、よりよいユーザー経験を提供することを目標に、LINE BITMAX Walletと自社の発行した暗号資産LINKを決済手段として使用することができるNFTマーケットのベータ版を6月30日に日本で発表した。これを通じて、NFTマーケットのユーザーにより良い経験を提供できるベースを作り、NFTの発行を通じ、新しく便利でおもしろいサービスを提供する企業を増やすことが、NFT大衆化のための我々のミッションであると考え、その一歩を踏み出している。


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